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当教室が目指す研究


松永直哉研究室では、臓器連関、腎・肝障害、がん、体内時計、
ナノ粒子製剤、クライオ電子顕微鏡、医療機器開発
等を対象とした分野横断的な研究を推進しています。


松永直哉研究室では、臓器・細胞連関(臓器-細胞間のシグナル伝達)、腎・肝障害、がん、LNP、クライオ電子顕微鏡、医療機器の開発など様々な視点から研究活動をしています。
薬物や分子(タンパク質、マイクロRNAなど)の動態解析を切り口に様々な研究をを推進しています。

現在行っている研究内容 (一例)

  • 薬物の効果や副作用の個人差・個体内変動の原因を解析する
  • 治療満足度の低い疾患病態モデル動物を作製し、臓器・細胞連関の側面から病態に関連する新たな分子を探索・同定、さらに治療薬の候補化合物の探索をする
  • ワクチン製剤などのLipid nanoparticle (LNP)の開発
  • 生体機能を操作する医療機器の開発
  • クライオ電子顕微鏡によるタンパク質構造解析
  • 薬剤送達技術やがん幹細胞に着目した新規がん治療薬の開発

研究内容


~様々な分子の動態を解析し、医療薬学への貢献を目指す~




➤薬物の効果や副作用の個人差・個体内変動の原因を解析する

服用した薬物の体内濃度において薬物代謝酵素は重要な役割をしています。 一般的に薬物は薬物代謝酵素で代謝され解毒されますが、一方で代謝活性化され毒性を示す薬物もあります。 またこの薬物代謝酵素の遺伝子の変異が原因で、正常なタンパク質が生成できず薬物の代謝に異常を引き起こし個人差が生じることが知られています。 その一方で、これら代謝酵素の発現には個体内変動が認められることから、同じ容量の薬物を服用しても、服用する時刻によって体内における薬物濃度に差が生じます。 これはしばしば薬物の効果や副作用に服用時刻依存的な差異をもたらします。当分野では様々な医薬品を対象に、これら機構について解析しています。


TBS「知ってニャるほど!ヘルシスト」

https://www.tbs.co.jp/healthistTBS/

当分野の大戸茂弘特命教授が出演されました。
体内時計について分かりやすくお話されています。
公式サイトからアーカイブがご覧いただけます。



➤治療満足度の低い疾患病態モデル動物を作製し、臓器・細胞連関の側面から病態に関連する新たな分子を探索・同定、さらに治療薬の候補化合物の探索をする

薬物代謝酵素やトランスポーターは、生体の内因性分子の代謝や輸送する、という重要な役割を担っています。 よってこれら代謝関連分子発現の異常はありとあらゆる疾患・病態に影響を及ぼします。 慢性腎臓病 (Chronic Kidney Disease; CKD)はその最たる例です。 CKDは腎機能が50%以下の状態が慢性的に続く病態の総称を指します。 本国における透析患者数は30万人に及び、8人に1人がCKDに罹患していると推定されています。 CKD治療は、薬物や透析による対症療法がメインなる一方で他の二次的疾患を併発するため様々な薬物療法が行われますが、腎 障害による薬物代謝能の低下が生じるため、薬物療法に細心の注意が払われています。 これまでに、肝臓の薬物代謝酵素の発現量や活性が健常時より低下することで、ビタミンAの生体内での蓄積が生じ、これが腎臓や心臓など他臓器の炎症や機能障害を増悪するなどの新たな病態悪化機構を明らかにしています。 現在、これら機構をより詳細に解析し新たなCKD治療(創薬・育薬)研究をしています。


下記メディアや書籍をはじめ、様々な場所で研究成果が紹介されています

産経新聞

体内時計のずれ直して心疾患治療
「時間創薬」の可能性

https://www.sankei.com/article/20210530-3KV2MPAKWBK4ZF4MDGWOIUOXNU/

科学新聞

「慢性腎臓病が心疾患の原因に」九大
グループが仕組み解明 新規治療薬開発期待

https://sci-news.co.jp/topics/5005/



➤ワクチン製剤などのLipid nanoparticle (LNP)の開発

COVID19などの新興感染症の対策としてRNAワクチンが開発され、認知度が急速に高まっています。このRNAワクチンの製剤に使われている技術としてLipid nanoparticle (LNP)が挙げられます。現在、九州大学独自の新たな素材を用いたLNPを作製し、新興・復興感染症に対する新たなワクチン製剤の開発をしています。また、これらワクチンの体内動態やがん治療への応用研究を進めています。

SCARDAの下記プロジェクトに研究分担者として参加しています

先進的研究~センター

https://www.amed.go.jp/program/list/21/02/001.html

ワクチン開発のための技術支援
革新的アジュバント・ワクチンキャリアの開発と技術支援ならびにデータベースの構築
代表:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
ワクチン・アジュバント研究センター センター長
國澤 純 先生

新規モダリティを用いる感染症ワクチンの研究開発
カイコ昆⾍モダリティによる低価格な国産組換えワクチンに関する研究開発
代表:九州大学大学院農学研究院 教授
日下部 宜宏 先生



➤生体機能を操作する医療機器の開発

医療は医薬品のみでなく、様々な医療機器によっても支えられています。 当研究室ではこれまでに、外部デバイスを用いて微弱電流刺激を生体に与えると、時計遺伝子をはじめとしたいくつかの遺伝子の発現が変化することを明らかにしています。 現在、既存の電気治療のための医療機器をリズム障害、生活習慣病、がん等に対する治療へ応用するための研究、および、新たに作製した微弱電流刺激装置を医療や農業に利用するための研究を推進しています。


下記メディアをはじめ、様々な場所で研究成果が紹介されています

科学新聞

微弱電流でがん転移抑制
九大が装置実用化めざす

https://sci-news.co.jp/topics/9443/

youtube

【画期的?】電気で刺激した結果「がん」が・・・
最新研究が示す「微弱電流(マイクロカレント)」
による新たな癌治療法の可能性

がん情報チャンネル・外科医 佐藤のりひろ
https://www.youtube.com/watch?v=RFs88N6EgOQ


本研究の医療・畜産への応用を目指し、大学発ベンチャーを設立しました

chicktek

企業名:株式会社chicktek
英語名:chicktek Co., Ltd.
住所 :福岡県福岡市東区二又瀬1-17



➤クライオ電子顕微鏡によるタンパク質構造解析

クライオ電子顕微鏡法は、生体試料を急速凍結して電子顕微鏡で観察する手法です。 2017年、開発者であるジャック・デュボシェ氏、ヨアヒム・フランク氏、リチャード・ヘンダーソン氏にノーベル化学賞が授与されたことは記憶に新しいと思います。 この技術は現在も発展を続けており、タンパク質の分子構造解析や細胞内構造の解析などに多大なる貢献をしています。 そういった状況の中、2022年、九州大学大学院薬学研究院に世界最先端レベルの解析が可能なクライオ電子顕微鏡が導入されました。 現在当分野では、クライオ電子顕微鏡が設置されている「グリーンファルマ構造解析センター」の管理運営を行いながら、創薬シーズにつながるタンパク質の構造と化合物の結合などを解析し、アカデミア創薬の加速化に取り組んでいます。

当分野では「グリーンファルマ構造解析センター」にて
クライオ電子顕微鏡の御利用や撮影支援を承っております。
詳細は「お問い合わせ」または下記リンクをご覧ください。

九州大学 グリーンファルマ構造解析センター


委員長・センター長:
松永 直哉 (当分野教授)

統括スーパーバイザー:
大戸 茂弘 (当分野特命教授)

職員: 吉田 優哉
   (当分野助教)
  : 谷原 智仁
   (当分野博士課程)


当センターは下記事業の支援のもと運営しております

創薬プラットフォーム

https://www.binds.jp/
ヒット化合物創出ユニット 代表:大戸 茂弘
グリーンファルマ創薬構造解析による支援高度化の推進


当センターの取り組みが下記メディアをはじめとした
様々な場所で紹介されています

RKBニュース

九州初の電子顕微鏡が九州大学に
“原子レベル”でタンパク質を分析

https://rkb.jp/news-rkb/202206292186/
https://www.youtube.com/watch?v=yS17k3SVHb8&t=2s


西日本新聞

九州大に最先端の電子顕微鏡
新薬開発へ、タンパク質の構造解析

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/958371/



➤薬剤送達技術やがん幹細胞に着目した新規がん治療薬の開発

21世紀に入り、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬とはじめとした革新的な抗がん剤が相次いで開発されました。 これらの貢献により、現在がんは「治らない病気」から「治る病気」に変わりつつありますが、依然として日本国内の死因第一位は悪性腫瘍 (がん)が占めているため、新規治療を探し続ける必要があります。 当分野では生体リズムを制御する「時計遺伝子」と呼ばれる分子に着目した解析により、薬剤をより効率的に腫瘍に送達させる技術の開発や、腫瘍の中に存在する「がん幹細胞」と呼ばれる、腫瘍の悪性度を左右する細胞の性質の解析を進めています。

近年の詳細ながんの病態解析により、がん組織は単一のがん細胞のみで構成されるのではなく、遺伝的に不均一な細胞群で構成されることが明らかになりました。 これら遺伝的不均一性は浸潤・転移・再発などと密接に関連しており、腫瘍の悪性度を大きく左右します。
概日リズム
たとえば、乳がん組織にはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性が高値を示す幹細胞様の細胞(がん幹細胞)と活性が低い細胞が存在します。 がん幹細胞の腫瘍組織中の存在率は数%程度ですが、この細胞は高い自己複製能、腫瘍形成能、高転移性能を併せ持っているため、難治性の乳がんの治療標的として注目されています。 我々は、これらがん幹細胞のがん組織中における動態に個体内変動があることを明らかにしています。現在さらに、これら機構をより詳細に解析して画期的ながん治療の導出を目指しています。

当分野では医薬基盤・健康・栄養研究所の協力により
薬用植物からの新規創薬シーズの探索を行っています

NIBN

https://www.nibn.go.jp/index.html

NIBIOHN

https://wwwts9.nibn.go.jp/index.html



当分野はこれまで培ったがんに関する研究成果・技術を活かし
COGNANO社、大阪大学大学院薬学研究科/生命機能研究科
と共同で画期的ながん診断・治療法の開発を進めています