Copyright © 2025 Matsunaga Lab.
Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University. All Right Reserved

ご挨拶

医療薬学専攻分野としてのあゆみ

 2006年度の学校教育法改正により薬学部が4年制から6年制学部となり、20年以上が経過しました。
 この改正により、日々高度化し続ける医療技術、医薬分業、地域医療への貢献等に対応できる高い資質・技能を有する薬剤師の育成環境が整いつつあります。
 一方、九州大学では、6年制移行に先んじること約15年前の1992年、国立大学としては初となる医療薬学を専攻とする分野が設置されました。
 この分野こそが当分野であり、初代教授 樋口駿先生、二代目教授 家入一郎 先生、現 名誉教授 大戸茂弘 先生らにより、時代に先駆けて国内の「医療としての薬学研究」を長年リードしてきた研究室の一つです。 この歴史の中で、当分野にて医療薬学研究を推進された多くの諸先輩方が、大学、病院、企業、官公庁などで医療を牽引するご活躍をなさっています。
 私は当分野にて博士号を取得後、大学病院とアカデミア双方にて医療薬学の研究・教育を研鑽したのち、2021年に当分野の教授に着任しました。 今後も多くの諸先輩方のお力添えの下、当分野の発展に邁進する所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

九州大学大学院薬学研究院 教授 松永直哉(薬学博士)




当分野の研究のあゆみ

 近年の分子生物学的解析手法の発展に伴い、個人の遺伝子配列の違いを基にした適切な治療薬の選択が行われつつあります(遺伝薬理学)。遺伝薬理学は、薬効や副作用などの薬物応答性に関連する遺伝的要因を見出し、個人に合った薬を適切に使い分けることを目指しており、抗がん剤による副作用リスクや発がんリスクの予測、さらに薬物の用量調整などに応用されています。しかしながら遺伝子の配列情報では説明の出来ない薬物応答性の個人差も認められていることからもより詳細な研究が必要とされています。
 一方で、薬物の効果や副作用の発現は投薬時刻により変動(個体内変動)します。この個体内変動を制御する機構は時計遺伝子と呼ばれる遺伝子産物により制御され、薬物の体内動態や薬理作用発現に関連する因子の発現にリズミカルに影響を及ぼすことで薬効に個体内変動が生じます。よって薬物治療の個別化や最適化のさらなる充実を図るには、薬効の個体間変動に加えて個体内変動に着目した研究の充実が必要といえます。
 松永直哉研究室では、薬物のみならずタンパク質やマイクロRNAなどの様々な分子の動態を、質量分析装置やクライオ電子顕微鏡などの機器を用いて解析し、育薬や創薬研究を行い医療薬学に貢献することを目指しています。